睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群
(SAS)とは
寝ている間に気道が何らかの理由で塞がってしまい、呼吸が止まってしまう疾患です。日本における有病率は男性で約3.3%、女性で約0.6%と男性に多く見られます。
SASの患者さんは寝ている時に大きないびきを伴っていることが多く、大きないびきの消失とともに呼吸が停止し、この状態が数十秒続くと脳が呼吸を再開させるために覚醒し、呼吸が再開し脳が眠りにつくとまた呼吸が止まる、といったことを一晩中繰り返します。その結果、睡眠を十分に取ったつもりでも実際には満足な睡眠が得られていないので、疲れが残ってしまったり、昼間に耐え難い眠気が現れます。
睡眠時無呼吸症候群の症状
- 毎晩大きなイビキをかくと家族や周囲に言われる
- 血圧が高い
- 居眠り運転をしてしまう
- 昼間(会議中など)に強い眠気が
ある - 睡眠中に呼吸が止まると家族や周囲に言われる
- 寝相が悪い
- 体がだるい
- 熟睡した感じがしない
- しばしば、息苦しさで目覚める
- 朝、目を覚ました時に熟睡感がない
- 肥満気味だ
- 朝起きると頭痛がする
- 寝汗をかくことが多い
- 日中に眠気が強く、目を覚ましているのがつらい
ことが多い
SASになりやすい方の特徴
これらに当てはまる所見のある人全てがSASになるわけではありません。逆にこういった所見がなくてもSASになる方もいますので一例としてご参照ください。
- 大きなイビキをかく
- 舌が大きい
- 下顎が小さい
- 鼻のつまりが強い
- 肥満傾向にある
- 軟口蓋が長い
SASを放置するリスク
- 不快な自覚症状(昼間の眠気、集中力・記憶力の低下、倦怠感など)
- 居眠り運転や不注意による交通事故
- 高血圧症や心筋梗塞、脳卒中などの合併疾患の発生や再発
受診〜検査の流れ
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初回:1回目の受診
当院へ受診し睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるかを決定
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必要書類への記入「携帯用睡眠時無呼吸検査装置賃貸借・データ処理」
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パンフレット「簡易検査を受けられる方へ」の説明
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次回受診日の予約
当院で検査機器の説明を行います
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当院にて検査機器をお渡しし、検査結果は使用法の説明をさせていただきます。当日機械が空いていれば当日に可能なこともあります。検査希望の方は、事前にお電話いただくとことで予約も可能です。
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自宅で寝るときに指示書に従って機器をつけていただきます。1〜3日間の測定が可能です。
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終了後、当院へ機器の返却をお願いします。
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約2週間後に結果をお話します。
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2回目の受診:検査結果説明
結果レポートが当院に届きますのでご説明いたします。検査結果をもとに必要であれば、予約も可能です。CPAP治療を開始する計画を立てます。
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検査結果のご説明
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次回日程のご予約
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3回目の受診
CPAP導入の為のご説明
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CPAP導入の為のご説明(1時間ほどしっかりとご説明します)
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装置をお持ち帰りになり、自宅で使用開始
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4回目の受診
月に1回受診して頂き、CPAPの使用状況の確認・設定などを行います。
就寝中の呼吸状態はインターネット経由で情報が送信されているため、受診時に機械本体を持参して頂く必要はありません。
SASの治療方法について
SASに対してCPAP治療(持続陽圧換気治療)が必要な患者さんのCPAPの導入および外来管理を行っています。
適切なCPAP圧の決定、使用状況、治療効果等の管理を行います。
寝ている間に鼻マスクより空気を送り、気道の閉塞を防ぐ治療法です。
睡眠時無呼吸症候群の最もスタンダードな治療法で有効性・安全性が高く、即効性があります。副作用が少ないのも特徴です。
治療料金
CPAPは健康保険の適応となる治療法です。
3割負担の場合、毎月約5,000円の費用負担で治療が可能です。
通院治療について
CPAPはSASの重症度基準を満たした患者さんに対して保険診療としての治療が認められている治療法です。この治療は人工呼吸器に準じた治療器具を用いた治療法であり、適切な治療管理を継続していくために、月に一度のクリニック受診が保険診療の条件となっています。病気や治療状態の変化を見逃さないためにも、必ず月1回の外来受診を行ってください。
CPAP治療に関して
寄せられた質問
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CPAPで睡眠時無呼吸症候群は治りますか?
CPAP療法は、近視に対して眼鏡をかけている状態と同じように、CPAPを使い続ければいつか睡眠時無呼吸症候群が治る、というものではありません。
CPAPをお使いの患者さんで、CPAPを離脱する(中止する)ためには、手術や減量で体の状態に変化が起こったり、マウスピースなどの他の治療法を選択する必要があります。睡眠時無呼吸症候群の重症度が高く、統計学的に他の治療法、対処法が困難と予測される患者さんもいらっしゃいます。
CPAPの離脱やCPAP以外の治療法を希望される患者さんは、一度ご相談ください。 -
CPAPは毎日使用しなければいけませんか?
CPAPの使用目標は4時間以上使用、最低70%使用が目標値となりますが、最も良いのは毎日使用し、かつ1日6時間以上使用して頂くことです。
これらの数字の根拠は、その数値以上にCPAP治療をおこなった患者さんはそれ以下であった患者さんに対して、生命予後(余命)や、脳梗塞、心筋梗塞などの合併症の発症頻度が明らかに良好であったというデータに基づいています。
ただし、毎日CPAP治療をおこなうことが最善ではありますが、旅行や仕事の都合で、月に2、3日、CPAPが使用できない日があったとしてもそれほど心配する必要はないでしょう。 -
CPAPをしていても眠気が取れないのですが?
睡眠障害がない方でも日中の眠気を感じることはあり、眠気を感じただけでそれがすぐに病的であるとは言えません(“眠気の状況”アンケート:ESSで、12点以下は正常範囲内の眠気と考えられています)。CPAP治療を行ってAHI(RDI、無呼吸低呼吸指数)が正常範囲内でコントロールできている場合、一概には言えませんが、眠気の原因は純粋な睡眠時間の不足によることが多いです。
全人口の1、2%で長時間睡眠者、短時間睡眠者と呼ばれる、一般の方と必要睡眠時間が異なる方がいらっしゃいますが、残りの98%の方にとって、日中の正常な脳活動が得られ、睡眠時間の不足から来る眠気を防止するためには7時間台の睡眠時間が必要とされています。
眠気の原因が睡眠不足から来るものか、そうでないかを確認する方法は簡単です。7時間睡眠を取る日を3、4日続けましょう。それにより眠気が改善した場合は、睡眠不足が眠気の原因といえるでしょう。CPAPは睡眠の質を改善する優れた医療機器ですが、必要な睡眠時間が短縮できるものではありません。良質の睡眠を得るために睡眠時間もしっかりと確保しましょう。 -
CPAPをしていても自覚的な改善がありませんが、大丈夫でしょうか?
CPAP導入当初は眠気に対する高い効果が実感できたのに、しばらく使用し続けていると、再度眠気を感じるようになる方がいらっしゃいます。それは使用当初はCPAPによって睡眠の質が劇的に変化したことでそれが実感として認識できたのに対し、その後安定した睡眠に体と脳が慣れ、正常の方並みの眠気を感じ出したことが原因として考えられます。
毎月のデータ確認で、AHI(RDI)が正常の値を示しているのであれば、睡眠時無呼吸症候群の治療効果に関しては大きな心配はありません。また、もともと眠気などの自覚症状に乏しい方もいらっしゃいます。症状の改善のためというよりも、睡眠時無呼吸症候群による将来的な合併症の頻度を減らすために導入された方は自覚的な改善は残念ながらない方もいらっしゃいます。