• 心臓神経症は、なかなか聞きなれない病名かもしれません。
    ただ、実際には非常によくある疾患です。
    今回は、心臓神経症の特徴や検査内容だけでなく、検査では異常なしと言われたけど、どうしたらよいか?という方も多くみえますので、そんな方の不安を減らせるようなコーナーにできればと思います。

心臓神経症の特徴・症状

心臓神経症の特徴は以下のような症状があげられます。

  • 胸が痛い
  • 苦しい
  • 息苦しさを感じる
  • 喉がつかえる感じがする

上記以外にもさまざまな症状を訴えれる方がいらっしゃいます。

特に20代から40代の女性に多く見られ、男性よりも多い傾向です。

症状としては、胸が痛くなる病気なので、まず皆さんが心配されるのは心臓の病気です。胸が痛くなる病気といえば、他にも肺や胃、食道の病気などがあげられます。胸が痛む原因はさまざまですが、狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気は特に心配ですよね。

インターネットで調べると、いろいろな情報が出てきて、怖い情報ばかりが出てきます。胸が痛いと、心臓病で命を落とすのではないかと不安になる方も多いでしょう。特に、ご家族 や身近な人が心臓の病気になったり、ニュースで有名人の方が同様の病気を患ったと報じられると、より不安になったりします。

そして、そういった患者様がどうされるか?というと内科、特に循環機内科、心臓の専門外来に来られる方が多いです 。

検査はしたけれど、異常がない、どうしたらよい?

実際に病院にかかってみると、心電図や血液検査、レントゲン、心臓の超音波など、いろんな検査をされることが多いです。

ただ、実際に検査をしても何も異常がないと、「うちでは診れないね」「様子をみてね…」となることが多く、安心感につながらないことがあります。

ただご自宅に帰ったあとやっぱり症状が取れないとなると、「なんでこんなに痛いのに検査して異常が出ないのだろう」と余計に不安になってしまうことが非常に多いです。

検査結果に異常がないので、じゃあ「別の病院に行ったら、分かるのではないか」と考え、別の循環器内科を受診される。そして、また同じような検査をするけど、同じように「異常がない」と言われてしまう。このようなお悩みを抱え、当院にもいろんな医療機関にかかった結果「やっぱり心臓が心配で…」というご相談をいただくことが多くあります。

当院では、もし以前の病院で検査結果があれば、それを持参していただき当院でもしっかりと説明します。

まず、病気の治療の第一歩としては、自分の病気が心臓の病気ではないこと、狭心症や心筋梗塞でないことが一番大事です。そこが分からないと治療に進めませんし、不安ばかりが強くなってしまいます。

心臓神経症を診断する検査とは?

心臓神経症を診断するために実施する検査を紹介します。

心電図

心臓の動きや不整脈などを調べる検査です。不整脈による動悸だったり、狭心症は発作がないと心電図上ではわからない場合がありますが、心筋梗塞や心膜炎など、心臓の周りの炎症を起こす胸痛を起こす病気を確認することができます。

レントゲン検査

心臓の大きさや肺の病気を見ることができます。

心臓の超音波検査

心臓の動きや大きさを実際に見れるので心筋梗塞、心膜炎がないかどうか、心不全、心臓が悪くなる病気がないかどうかを見ることができます。

ホルター心電図

24時間、心電図を見る検査です。

狭心症の場合、痛みや症状がある時の心電図を見ることで、より詳しく病気の診断がつくことがあります。ただ、病院に来た時に症状が出ないことはよくありますので、その場合は1日中つける心電図をつけて、症状がある時をチェックします。その時間帯の心電図を当院で確認することで、心電図に異常がないか、狭心症かの判断が可能になります。

運動負荷心電図

労作性の狭心症や心臓の血管が細くなって運動した時、動いた時に症状が出る場合には、わざと運動負荷をかけ心臓に負担のある状態で心電図に変化が出ないかを確認します。

心臓の冠動脈 CT

冠動脈を造影剤を用いてCTの検査で血管の様子を見る検査です。狭心症の疑いがないかどうか、よりしっかり診断することができます。

不安を取り除くことが一番大事です

ただ、複数の病院へかかったあと、問題ないと言われて、そのまま終わるという場合が非常に多いです。

症状は検査をするだけでは消えません。不安が強くなってしまい、逆に何か分からない特殊な病気なんじゃないかと悩む方もいらっしゃいます。

大事なことは、自分の病気が狭心症、心筋梗塞、こういった心臓の病気じゃないかどうかをしっかり確認してもらうことです。

たとえ、検査結果に問題ない場合でも、しっかりと状況をお話してあげること、説明をしっかりすること。それによって、患者さん本人が自分の病気のことを理解してもらうことが不安感を取り除くことが一番大事なことだと思っています。まずは、しっかり説明し、理解していただき、その上で治療法はどうするか?を考えます。

心臓神経症の治療方法

動悸が強い方には脈を抑える薬を使ったり、不安感が強い方には不安を取り除く薬や他には漢方薬があります。実際に漢方薬を当院では使うことが非常に多いです。何種類か症状に合わせて漢方薬を用いることによって、症状をコントロールすることが可能な方がたくさんいらっしゃいます。

自律神経の乱れによる症状には、薬以外にも大事なことは生活習慣の改善や睡眠をしっかり取ること、そしてリラックスすることも大切です。例えば、好きなことをする、ウォーキングだったり運動したり、体を動かすことも非常に大事です。

あとは、家族や友人とそういった症状についてお話しすることです。自分が苦しんでいることを話すのは勇気がいりますが、共有することによって楽になる場合も非常によくあります。

そして、ご自身の意識としては焦らないこと「きっと治る」と信じることが大事です。

心臓神経症になる方は非常に頑張っている方、ストレスが多い状況にある方、不眠だったり疲れが溜まっている方に多いので、リラックスするようなことや、自分の好きなことをする時間をぜひ作りましょう。

 

今回は心臓神経症についてお伝えしました。

普段 クリニックで実際にお伝えしていることを動画やブログでお伝えしていきますので、参考になれば幸いです。

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