肺塞栓症(はいそくせんしょう)とは?
肺塞栓症(肺血栓塞栓症)は、主に足の静脈にできた血のかたまり(血栓:けっせん)が血流に乗って流れ、肺動脈(心臓から肺に血液を送る動脈)で詰まることによって生じる肺循環障害です。
主な原因となる血栓は、「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」であり、入院中や飛行機の搭乗など長時間同じ姿勢でいることにより血栓ができるため「エコノミークラス症候群」「旅行者血栓症」とも呼ばれています。
ガイドライン*1によると、2006年に行われた疫学調査では静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症*2+深部静脈栓症)の発症数は10年間で2.25倍増加し、推定で100万人あたり62人と報告されており、食生活の欧米化などにより現在も引き続き増加傾向にあります。
日本人患者さんの内訳をみてみると、男性よりも女性に多く発症がみられ、ピークは60歳代~70歳代であると報告されています。
*1(参考)肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版) P.9|日本循環器学会
https://j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2017_ito_h.pdf
*2(参考)肺血栓塞栓症:血栓が原因の肺塞栓症のこと
肺塞栓症は循環器の3大救急疾患*3の一つです。発症すると突然の息切れ・呼吸困難・胸痛・失神といった症状が現れ、大きい血栓によって肺動脈が塞がれた場合には死に至ることもある危険な病気です。
*3(参考)循環器の3大救急疾患:肺塞栓症のほかに、急性心筋梗塞・大動脈瘤/大動脈解離がある。
そのため、急な息切れ・胸の痛み・呼吸困難などの症状が現れた場合には、救急車を利用するなど速やかに医療機関を受診しましょう。
肺塞栓症では、新たな肺塞栓症を起こすことを予防するために、軽症の場合でも基本的には入院加療が必要となります。退院後も血栓の再発予防のため、定期的な経過観察が必要となります。
当院では、肺塞栓症の急性期後のフォロー治療を行っています。
肺塞栓症の症状
肺塞栓症の症状は、血栓の大きさ、塞がった肺動脈が及ぼす影響範囲、患者さんのそれまでの健康状態などによって、無症状~重症まで様々です。
肺塞栓症を発症すると、以下のような症状が現れます。
- 突然の息切れ・呼吸困難
歩いていて、階段・上り坂の途中で息が切れ、休まないと動けなくなるほどの息苦しさを突然感じます。 - 胸や背中の痛み、胸部圧迫感・不快感
肺塞栓により一部の肺組織が壊死する「肺梗塞(はいこうそく)」を起こすと、息を吸うときに鋭く痛みます。咳や血が混じった痰(たん)が出ることもあります。 - めまい・ふらつき・動悸
血圧低下により、動悸と共にふらつき・めまいなど起こることがあります。 - 失神・ショック状態
血圧の低下や神経反射の影響で、意識障害・臓器の機能障害を起こします。 - 心停止
大きな血栓が肺動脈に詰まると、場合によって突然死することもあります。
特に長時間座った後や手術後の「胸の痛み・息切れ・片側の足のむくみ」は、肺塞栓症のサインとして、よくみられます。早期発見のために、思い当たる場合には速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
肺塞栓症の前兆
実は肺塞栓症患者さんのうち、約半数の方に発症の前兆として、「下肢(脚:骨盤~足首)のむくみ・痛み・皮膚の色の変化(赤・紫色)・脚の太さに左右差がある」といった深部静脈血栓症の症状がみられています。特に片脚のみに症状がみられる場合、深部静脈血栓症の可能性が高いので、すぐに医療機関を受診してください。
肺塞栓症の原因
肺塞栓症の直接原因は「血栓が肺動脈で詰まること」です。
その血栓のほとんどは下腹部や膝の中心を走る深部静脈にできた血栓(深部静脈血栓症)からです。
血栓ができる要因
静脈に血栓ができる要因には、次の3つが関係しています。
- 血管が傷つく
手術などで血管の中に点滴や輸血の管を長期間入れて置いたとき、骨折などで血管内皮が障害を受けた場合などに血栓ができやすくなります。 - 静脈内の血液の流れが悪く、停滞している
手術後のベッド上に長期間安静にしているとき、麻痺で足が動かなくなったり飛行機・車・新幹線に乗って長時間椅子に座ったりするなど、長時間足を動かすことができないと、脚の静脈の血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。また、妊娠中や大きな子宮筋腫・卵巣嚢腫などによって、腹部の大きな静脈が圧迫されることによっても血栓の発生リスクが高くなります。 - 血液が固まりやすい体質を持っている
アンチトロンビン欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症など生まれつき血液を固める機能に障害がある方がいます。また、抗リン脂質抗体症候群、悪性腫瘍などの病気によって後天的に血液が固まりやすい状態となる場合もあります。
肺動脈を閉塞させる物質
肺動脈が詰まる原因のほとんどは「血栓」ですが、ほかにも以下のような物質も詰まる原因となることがあります。
- 脂肪
長い骨を折った時など、骨髄から漏れ出すことがあります。 - 羊水
骨盤部内の静脈の中へ押し出されることがあります。 - がん細胞
腫瘍から分離して血流に乗って、腫瘍塞栓を形成することがあります。 - 空気の泡
太い静脈に留置したカテーテルが何かの拍子に解放された場合や、静脈に対する手術中、潜水時に空気によって詰まることがあります。 - 感染物質
血栓形成・感染を伴う静脈の炎症(敗血症性血栓性静脈炎)などが原因となり、塞栓を形成してしまうことがあります。
深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群・旅行者血栓症)とは?
肺塞栓の主な原因である血栓は、足の深部静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」によるものです。
足の筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、人間は足を動かすことで、足の静脈の流れを促進しています。しかし、長い間足の筋肉を動かさないでいると、静脈内の血液が固まりやすくなるため、血栓ができます。
深部静脈血栓症を起こしやすくする危険因子
深部静脈血栓症の2大発生要因は「血流が停滞する」「水分が十分に取れない」ことです。
以下に該当する方や場面では、深部静脈血栓症を発症しやすいので注意が必要です。
- 妊娠中・出産直後の方
- 高齢者
- 肥満
- 生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症)の持病がある
- 大きな子宮筋腫・卵巣嚢腫などの持病がある
- 過去に深部静脈血栓症、心筋梗塞、脳梗塞などを起こしたことがある
- 飛行機・新幹線・車・バスなどに長時間乗車する
- 長時間のデスクワーク
- 手術後や病気などで長時間ベッド上での寝たきり・安静が必要となる
- 災害時の車中泊・避難所
- 草むしり・畑仕事
- 経口避妊薬を服用している
- 脱水状態 など
血栓が流れるタイミング
足の静脈にできた血栓が流されるタイミングは、「動き出したとき」です。 立ち上がったり歩き出したりすることによって足の筋肉の収縮が起こり、大量の血液が足から心臓に戻ります。特に新しくできた血栓ほど流されやすくなります。
(図)肺塞栓症の発症のしくみ
肺塞栓症の検査・診断
肺塞栓症の症状が認められる場合、血中の酸素量(酸素飽和度)や血圧を確認しながら、スクリーニング(病気かどうかの選別)検査として、胸部X線検査・心電図・心エコー(心臓超音波検査)・血液検査を行います。
肺塞栓症が強く疑われるときは、緊急で心CT血管造影検査を行い、肺動脈の血栓を確認します。命の危険が迫っている可能性もあるため、迅速な検査・診断を必要とします。
※当院では、緊急で検査・治療が必要となる場合など必要に応じて、患者さまにご相談の上、提携する医療機関をご紹介しております。
(提携病院:名古屋市立大学医学部附属東部医療センター、名古屋ハートセンター、名古屋市立大学病院、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院など)
胸部X線検査(レントゲン検査)
肺塞栓症の場合、心拡大や肺動脈中枢部の拡張がみられることが多く、約1/3は肺動脈の塞栓による肺の空気の強調(透過性亢進)を確認できます。肺梗塞を起こすと、腹水(水が溜まること)がみられます。
ただし、肺塞栓症特有の所見はなく、胸部X線検査は呼吸困難を起こす他の心肺疾患の除外に有効です。臨床症状で疑いがあれば、造影CT検査などの画像検査を行うことになります。
心電図
心電図では肺塞栓症の特有症状を確認することはできませんが、息苦しさ・胸の痛みなどの原因が心筋梗塞などの別の疾患によって引き起こされているかなど、他疾患との鑑別に有効です。
当院では体に跡が残らない「使い捨てのシールタイプ」の電極を使用しており、衛生的で痛みはありません。検査時間は5~10分程度なので、お体に負担なく検査をお受けいただけます。
心臓超音波検査(心エコー)
心臓の壁の厚さ、弁の状態、ポンプ機能など、心臓の形状を調べます。典型的な肺塞栓症では心臓の右側に負荷がかかっている所見が確認できます。
血液検査
血液が固まりやすい体質かどうか、確認します。
また、血栓の形成・溶解に関連する物質「Dダイマー」を調べ、血栓の存在を評価します。
高値の場合、追加で造影CTなど詳しい検査が必要となります。
※Dダイマー検査は外部委託となるため、結果は翌日以降となります。
そのほか、次のような検査を行うこともあります。
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下肢血管エコー検査
足の静脈の形状や血流を確認して、残っている血栓(深部静脈血栓症)の有無を調べます。
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心CT血管造影検査
肺塞栓症の確定診断に必要不可欠な検査で、造影剤を体内に入れてX線による断層撮影をします。肺動脈内の血栓の詰まりを確認できます。
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肺シンチグラフィ検査
放射性同位元素を体内に入れて、放出される放射線を画像化することで肺の血流や換気を評価します。急性期の画像診断では主に「造影CT検査」が行われますが、造影剤アレルギーがある方、心機能・腎機能の低下例などに有用です。ただし、日本では対応している病院がとても少ないです。
肺塞栓症の治療法
肺塞栓症と診断されたら、残っている足の血栓が流れて新しく詰まることを予防するため、原則的に一時的な入院による治療が必要となります。患者さんの重症度・合併症・深部静脈血栓症の有無から総合的に判断して、治療法を選択します。
もともと肺は血栓を溶かす能力が高く、小さい血栓であれば自然に数週間~数か月で溶けるため、重症例以外では通常「薬で血栓が溶けるのを待つ方法(抗凝固療法)」を選択します。しかし、重症で命の危険がある場合には、積極的に血栓を溶かす強い薬を使ったり(血栓溶解療法)、手術で直接血栓を除去したり(カテーテル治療・肺動脈血栓摘除術)するなど、早急に血流を回復させるよう努めます。
なお、急性期を過ぎたら、定期的な検査による経過観察を続ける必要があります。
肺塞栓症にならないことは大事ですが、既に起こってしまった方も、継続して治療を行うことで再発を予防できます。
当院では専門病院と連携を取りながら、血栓の再発予防を目的とする「急性期後のフォロー治療および他の基礎疾患管理」を行っています。
そのため、診察の結果、肺塞栓症および肺塞栓症に対する急性期治療が必要と疑われた場合には、患者さまにご相談の上、提携する医療機関をご紹介しております。
(提携病院:東部医療センター、名古屋ハートセンター、名古屋市立大学病院、名古屋第二赤十字病院など)
内科的治療(薬で溶かす治療)
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抗凝固療法……治療の第一選択
抗凝固療法は、これ以上血栓ができないように薬で血液をサラサラにする治療法です。血栓が溶けるのを待つ治療法なので、自覚症状が軽く心肺機能の障害が少ないなどCT検査で「血栓が大きくない」と確認できた場合に適応となります。
初期治療期(1週間程度)は点滴による投与を行い、血栓が自然に溶けてきているようであれば、維持治療期(初期治療後~約3か月)は経口薬(ワーファリンなど)に切り替えます。ただし、血液が固まりやすい体質の方、がん治療中、肺高血圧(肺の血管が狭くなって肺動脈の血圧が上昇)がある方では、維持治療期以降も延長使用することがあります。
また、これまで抗凝固療法では、点滴ならヘパリン・飲み薬はワーファリンとされていましたが、近年新しい抗凝固薬(直接作用型経口抗凝固薬)が承認されたことにより選択肢が広がっています。新しい抗凝固薬は、薬の効き具合を採血で細かくチェックしなくてよく、ワーファリンにあるような食事制限が不要です。
メリット:抗凝固作用
デメリット:効きすぎると出血リスク大<使用する薬剤>
-ヘパリン®(静脈注射)
診断早期に使用する、半減期が短い
※採血で薬の効き具合を確認しながら使用する必要がある
-ワーファリン®(経口薬)
納豆・クロレラ・青汁・ビタミンKを含むサプリメントは効果を弱めるため摂取NG、アルコール類は控える、抗凝固作用を得るまで数日かかる、1日1回服用
※採血で薬の効き具合を確認しながら使用する必要がある
-プラザキサカプセル®(経口薬)
胃腸障害・胸やけ・腹部不快感などの副作用が出やすい、腎臓代謝なので高度腎機能障害がある方には禁忌、1日2回服用
-イグザレルト®(経口薬)
肝臓代謝なので中等度以上の肝障害がある方は禁忌、1日1回服用
-エリキュース®(経口薬)
高齢者に使いやすい、1日2回服用
-リクシアナ®(経口薬)
深部静脈血栓症に対して保険適用あり、1日1回服用 -
血栓溶解療法
詰まった血管が広範囲に渡り、血圧低下や意識混濁などのショック状態・失神を起こした方などに対し、静脈注射にて積極的に血栓を溶かす方法です。
血栓溶解作用が強い分、より出血を起こしやすいデメリットがあるため、慎重な投与が必要となります。メリット:強力な血栓溶解
デメリット:出血リスク大、出血による合併症(採血部位からの出血~頭蓋内出血、消化管出血など)<使用する薬剤>
-組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)
※保険適用あり
-ウロキナーゼ(UK)など
外科的手術
症状が極めて重く、内科的な治療を行う余裕がない場合には、外科的に直接血栓を取り除きます。
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カテーテル治療
血栓が広範囲型で、内科的治療を行っても血流が改善しないようなケースに適応されます。
カテーテル(細い管)を肺動脈内の血栓近くまで進めて、詰まった血栓を溶解(カテーテル血栓溶解療法)または破砕(カテーテル破砕術)することで再開通させる治療法です。メリット:血栓除去による症状の劇的な改善が期待できる
デメリット:高度な技術と設備が必要なので実施できる医療機関が限られる -
肺動脈血栓摘除術
血栓溶解療法が禁忌で行えない場合、ショック状態が持続している、心肺停止寸前などの重症例に適応となります。
経皮的心肺補助装置(PCPS)や人工心肺装置を使用して、血栓を直接取り除く手術を行います。メリット:血栓除去による症状の劇的な改善が期待できる
デメリット:高度な技術と設備が必要なので実施できる医療機関が限られる
下大静脈フィルター
抗凝固薬を使用していても肺塞栓が再発する、抗凝固薬が使用できない、次の発作が起こると致命的な症状となる可能性があるなどの場合に行う「予防的治療」です。
傘の骨組みのような形の網(フィルター)を腎臓の下にある下大静脈に置くことで、足の静脈に残っている血栓が流れても、フィルターで血栓を捉えて、肺まで飛ばないようにします。
フィルターには永久留置と非永久留置の2タイプがありますが、最近は長期留置による合併症の予防の観点から、取り出せる非永久留置タイプを用いることが多くなっています。
補助的治療
- 酸素吸入療法
肺塞栓症では、肺動脈が詰まっていることで体の中に酸素が十分取り込まれない状況に陥ります。急性期では酸素を補うための「酸素吸入療法」を行います。 - 強心剤・利尿剤など
肺動脈の流れが悪くなると、右心室に負担がかかります。そうなると、心不全が起こり、血圧の低下やむくみが生じやすくなるので、必要に応じて使用します。
日常生活での予防法
肺塞栓症・深部静脈血栓症を予防するためのポイントは、以下の通りです。
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適度に足を動かす(運動する)
長時間同じ体勢で血流を停滞させないよう、時々、足を上下に動かして血行を促しましょう。飛行機などの乗り物に乗る際は、気兼ねなく立ち歩ける通路側のシートに座ったり、定期的に休憩を取って体を伸ばしたりすると良いでしょう。
(図)深部静脈血栓予防のための血流促進運動例
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適切な水分補給
適度に水分補給を行い、特に長時間乗り物に乗る場合には十分に水分を取って、血流の停滞を防ぎましょう。また、脱水を招くアルコール・コーヒーなどのカフェインは控えましょう。
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定期的に通院する(退院後の方)
定期的に問診・超音波検査などを行い、経過観察を続けることでお薬の効き具合や肺塞栓症および肺塞栓症の原因となる深部静脈血栓症の再発などの兆候を早期に発見できる可能性があります。
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)があると、肺塞栓症になりますか?
深部静脈血栓症と混同される病気に「下肢静脈瘤」がありますが、下肢静脈瘤があっても肺塞栓症にはなりません。
下肢静脈瘤は、女性や立ち仕事の方・肥満の方に多く見られ、静脈内の逆流防止弁の機能障害により血液がうっ滞する(溜まる)ため、皮下の表在静脈が蛇行したり拡張してコブを形成したりする疾患です。そのため、下肢静脈瘤は基本的に放置しても命に関わることはありません。ただし、血栓ができる下肢静脈瘤もあります(血栓性静脈炎)。
一方、深部静脈血栓症は、血栓が流されることで肺塞栓症に繋がる可能性があるので、発見されたら速やかに治療が必要となる病気です。
肺塞栓症での入院期間はどのくらいですか?
肺塞栓症では新たな血栓が流れていかないよう、入院による一定期間のベッド安静が必要となります。個人差はありますが、血栓が小さく自覚症状が軽症であれば、1週間程度の入院となります。
術後安静でも血栓ができると知り、入院が怖いのですが……。
血栓予防には足の運動が大切ですが、安静が必要な患者さんの場合には難しいこともあります。
入院中など医療現場で発生する深部静脈血栓症に対して、医療機関では様々な対策を取っています。近年は静脈血栓塞栓症ガイドラインに沿って、以下のような方法で血栓予防に努めています。なお、手術内容や患者さんの危険因子を考慮して、選択します。
低リスク | 早期離床や積極的な運動を行う |
中リスク | 弾性ストッキング(きつめの靴下)を履いて、深部静脈の血流を促す ・足に空気ポンプを巻いて、マッサージするように圧迫して血流を作り出し、足の血流を停滞させないようにする(間欠的空気圧迫法) |
高リスク | 間欠的空気圧迫法/抗凝固療法を行う ・抗凝固療法と弾性ストッキング/抗凝固療法を併用する |
(表)リスクレベルと推奨予防法
退院後の外来通院はどのくらいの間隔ですか?
薬物療法で使用する内服薬、基礎疾患、合併する疾患にもよりますが、目安としては1か月に1回程度の通院となります。