舌下免疫療法とは
人間の体で起こるアレルギー症状の原因であるアレルゲンに体を慣れさせ、鼻水・くしゃみ・かゆみといった不快なアレルギー症状を解消する治療法です。アレルギーの発生の原因は、体内に入った多量のアレルギー発生物質を外敵とみなし、過剰な免疫反応が発生することで発生します。舌下免疫療法は、発生するアレルゲンを人体に無害に近いほど希釈した薬を使用します。体に慣れさせることで、アレルギー反応を引き起こさない体質にゆっくりと変えていく治療法です。
※当院ではスギ、ダニに対する錠剤での治療とします。
おすすめの方
- 妊娠を希望する方(妊娠初期には通常の内服ができないため)
- 通常のアレルギー薬服用で眠気やだるさといった症状がある人
※対象年齢:当院では中学生以上としています
※アレルギーが血液検査で証明されていること(スギもしくはダニに限ります)
※通常の保険適用の治療です。
(名古屋市在住であれば中学生・高校生の窓口負担はありません)
この治療法の大きな特徴
アレルギー症状を発生させる免疫の働きを抑えるのではなく、アレルギーが発生しない体質に変えるということです。アレルギー薬の内服時の副作用が楽になったり、人によっては内服そのものがなくなる人もいます(すべての方ではありません)。
そのため、アレルギー薬の副作用である眠気やだるさといった症状に悩んでいる人にもおすすめの治療法です。
メリットとデメリット
メリット
- 効果が持続する
- 治癒の可能性がある
- 眠くならない
- これから妊娠を考えている人に大きなメリット
(妊娠時には抗アレルギー薬の内服ができなくなるため)
デメリット
- 効果の発現は遅い
- 3年以上毎日内服を続ける必要がある
- スギかダニに限られる
- 口内のかゆみが出ることがある
- 症状がない時も毎日の服用が必要
- スギは花粉飛散期には始められない
- 舌下に1分間薬を保持できる
- 痒いなどの副作用が言える5歳以上
当院での治療方法(初回〜)
- アレルギーの検査がまだの方は、通常の採血検査(結果が判明するのに1週間程度頂きます)か、もしくは20分でその場でわかる検査(イムノキャップラピッド®︎)を行います。
- イムノキャップラピッド®︎の場合→当日20分待っていただくと、指からの採血だけで、その方のアレルギー原因物質が判明するため、当日からの治療が開始可能です。
ですが、その後の診察・説明・観察にて、内服後30分間は当院でお待ちいただく必要があるため、おおよそ窓口にいらっしゃってから、1時間程度のお時間を頂戴いたします。そのため、午前の診察でしたら12時まで、午後の診察でしたら18時までにご来院をお願いいたします。 - 舌下免疫治療薬は、当初一週間分を処方します。院外薬局(当院ビル二階)ですが、初回は院内で30分経過を見るため薬を院内に届けてもらい、実際に薬を内服したのち院内にてしばらく待機してもらい、服薬方法の説明を行います。問題なければこの日の診療は終了です。翌日からは自宅で続けていただきます。
いつから開始するのが良いの?
花粉症(季節性のアレルギー)の場合
ヒノキ花粉が終わった時期6月~12月の間に開始します。舌下免疫療法はアレルゲンがない状態の体に、アレルゲンを免疫細胞に徐々に慣らすことが目的です。そのため、なるべく多くの花粉が飛んでいない時期から始めます。
ダニの症状の場合
一年中症状があるため、いつからでも治療が開始できます。
ですが、現状のアレルギー症状の程度を考慮するなどして、医師が治療を開始する時期を決定します。
内服方法
初期一週間舌下免疫療法の薬を服用して、大きな問題がなければ、2~4週間分が処方されます。
内服方法は、1日のうちいつでも良いので1回、薬を舌の下に入れて体に慣れさせるようにします。1分以上保持したら飲みこむことを繰り返すのがこの治療法です。飲み物を飲んで口の中に水分が多い状態や食事中以外であれば時間関係なく、行うことができます。おすすめなのは、リラックスしている時間に服用することです。ただし、舌下免疫療法の薬を飲み込んで1~2時間後に運動をすると、アレルギーの症状が出るケースがあるため、内服の前後の運動は避けてください。
花粉症含めたアレルギーの症状は、体の免疫がアレルゲンに多くさらされた環境が長期間続いたことで、免疫反応が暴走した結果起こります。そのため、体に、「アレルゲンは敵では無い」とゆっくり教える必要があるため、時間が長期間に渡ります。
内服期間と効果について
舌下免疫療法による治療で、症状がしっかり改善されるまで必要な期間は2~3年です。
2~3年かかるということで、治療期間に抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、舌下免疫療法は、体質を改善して薬剤の使用を減らしたり、人によっては内服しなくてもいいといった快適な生活ができるようになる可能性をもった新しい治療法です。
ただし残念ながら、2割程度の方は、症状の改善すら見られない方もいらっしゃるのが現状であり、すべての方ではないということをご理解いただきますようよろしくお願いいたします。