• 「血圧の薬って、飲み始めたらやめれないんでしょう?」高血圧の患者さんからよく言われるこんな疑問について解説します。

    基本的に「 やっぱり薬は飲みたくないな」という人がほとんどだと思います。薬が合わない時や血圧測定の重要性もお伝えしていきます。

血圧の薬を飲む目的

血圧のお薬を飲むきっかけは人それぞれです。例えば、以下のような方が、薬を飲んでることが多いと思います。

  • 健康診断で引っかかり、医療機関を受診したら「血圧の薬を飲みましょう」と言われた
  • ご両親が高血圧で、脳の病気や心臓の病気をした方がいる
  • 心臓の病気や他の病気がある

治療の目標は、血圧を下げることですが、さらに大事なことは、将来的に、脳梗塞、心筋梗塞や狭心症>、他には急性動脈解離>など、血管系の病気や心臓の病気>を起こさないようにすること、これが一番大事なところです 。そして、その治療の目安にするのが、血圧の測定値です。

薬をやめられる方と難しい方の違い

「血圧の薬を辞めたいです」という点に関しては、正直な話、薬をやめれないことがやはり多いです。ですが、以下のように改善の余地がある方もいます。

◯改善の余地がある方

  • 受診する前に体重がかなり増えてしまっていた
  • 食生活がかなり乱れていた、体重が増加していた

上記に当てはまるような方は、生活習慣の改善で十分改善の余地があると思います。薬を飲んでいるとしても、生活習慣を見直すことでより血圧が下がることによって薬を減らしたり、実際に薬をやめられることはよくあります。

◯難しい方

  • 今までも食事も気をつけてきている
  • 体重も増えてはいないが、血圧が高い

上記の理由で、薬を飲み始めた方に関して言うと、遺伝的な要素や、いろんなことから血圧が下がりにくいことが多いです。さらに食費制限をしたり、運動を増やしたりすると、ある程度は改善は期待できますが、完全に薬を辞めれるか?というと難しいかもしれません。

薬の処方時に1番気にしていること

医師が1番気にしていることは、【血圧が常に高い状態でないこと】これが非常に大事になります。

お薬を飲みはじめると、自宅で血圧を測らない方がやはりいらっしゃいます。そういう方には口を酸っぱくしてお話をしますが、「自宅で血圧を測っ てください」とお伝えしています。なぜかと言うと、血圧の治療がちゃんとうまくいってるかどうかを見る判断として必要だからです。

例えば、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回 しか通院しない方が受診した時だけ、血圧を測ることを考えてみましょう。実際、クリニックに受診した際や健康診断の際だと普段自宅にいる時よりも血圧が高いことが多いです。もし、それだけの結果を目安にしてしまうと、薬の量を増やすことにもなりかねないのです。逆に、自宅で測ると高いけど、受診すると血圧が低いこういった方も いらっしゃいます。

自宅での血圧測定を勧める理由

自宅の測定はいつするのがよいか?というと、朝起きてからをオススメしています。起きてすぐの状態は基本的に血圧が高いことが多いです。寝ていた体を一生懸命、起こしますので、血圧を上げて体が動けるようにします。そのため起きてすぐはやはり血圧が高いことが多いです。

理想は、「起きてすぐよりも、起きてまずトイレに行って、朝ご飯の準備をして、食べる前に背もたれのある椅子に座って、ゆっくり休んで10分ぐらい座ってから測るといいですよ」とお伝えしていますが、朝の忙しい時間にそこまで待った上で、測れる方は非常に少ないです。

他にも、1回目の血圧が高いから、2回目、3回目…と測ったら、だんだん血圧が下がってきた、こんな経験もあると思います。

これは座って時間が経ったことによって、普段の状況に近い血圧に下がったからと言えます。この時の普段の血圧を目安にしていけばいいと考えています。ただ、何回も測ってるちに高いどうしよう…心配…。なんて思って測っていると、逆に血圧が上がることもあります。

あくまでも、測った数値はその時点の血圧の値です。変動するのは当然です。その日によって、高い・低いは日によって違います。そういったものだと思って、血圧は記録してみてください。

受診の際に大事にしてるのは、自宅での1ヶ月、2ヶ月、その間隔での血圧です。こちら参考にしますので、自宅で測った血圧をしっかり記録してもらって、そちらを受診の時に持ってきていただけると、「あ、ちゃんとこの方は自宅で測ってくれて、薬でしっかり血圧が下がってるんだ」と医師もやっぱり安心します 。

測定値をもとに「これだけ血圧が下がっているから、薬を減らそうか」というお話もしやすくなります。

薬が合わない場合は主治医にご相談を

血圧の薬に関しては、どうしても副作用が出る方いらっしゃいます。血圧の薬は非常にたくさん種類がありますので、もし仮に合わない薬があっても、別の薬に変えることで調子は良くなることはたくさんあります。薬を飲んで困ったことや、気になることがあったら、遠慮なく主治医の先生に相談しましょう。

自宅で血圧を測ることによって、先生としっかり今後の治療の相談ができます。 ぜひ自宅での血圧測定は行ってください。

毎日、朝・晩に測れるのが理想ですが、できる限りでいいと思います。毎日じゃなくても大丈夫です。ただ、1ヶ月、2ヶ月後に来た時に1回も血圧を測っていない状況だと、やはりこちらも治療に悩むことがあります。そもそも血圧が高い状態で自覚症状のある方は少ないので、治療の目安として、血圧の測定値が重要になります。

その情報が月1回だけの情報か、月30回測っているのか、やはり情報量が大きく違ってきますので、特に血圧の薬を減らしたい方、やめたい方に関しては、自宅でしっかり測定をしていきましょう。

もちろん、 食事に気をつけること、塩分を減らすこと、水分をたくさん取ること、そして運動すること、よく睡眠を取ること、そういったこともやはり大事です。

血圧の治療をしている方は、自宅でしっかり測定をして、ご自分の体の様子を見ていきましょう。