不眠症とは?

「不眠症=睡眠時間が問題」ではありません。睡眠時間が短くても、目覚めがすっきりしていて日常生活に支障をきたしていなければ、「不眠症」ではないのです。
不眠症は、何らかの睡眠問題がよく起こり(週2回以上・1か月程度続いている)、不眠が原因で日常生活に影響を及ぼしてしまう症状を指します。
厚生労働省による調査(2014年)では、日本人の成人の5人に1人(約20%)が慢性的な不眠であると報告*1されており、今や国民病の一つとなっています。

*1(参考)平成26年「国民健康・栄養調査」P.22|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000117311.pdf

 

不眠症の4つのタイプ

不眠症には大きく分けて4つのタイプがあります。

入眠障害
眠ろうと布団に入っても中々寝付けないタイプ。寝付くまでに2時間以上かかるが、一度寝てしまうと朝まで寝られるタイプであり、不眠症の中では一番多いです。

中途覚醒
眠りが浅く、夜中に何度も目が醒める(2回以上起きる)タイプ。また眠れることも多いのですが、細切れ睡眠となるため熟睡感(よく寝た感じ)が得られません。

早朝覚醒
朝早く(午前3~4時頃)に目が覚めてしまい、その後眠れなくなってしまうタイプ。高齢者やうつ病の方にみられやすいです。

熟眠障害
十分に睡眠時間を取っていても眠りが浅く、目覚めたときにぐっすり寝た気がしないタイプ。高齢者や神経質な人にみられやすいです。

不眠症による影響

不眠が続くと、次のような不調が現れ、日常生活にも影響が及びます。

  • 集中力・注意力・判断力・記憶力の低下
  • イライラする・気分がすぐれない・焦燥感(焦る感じ)がする
  • 日中の眠気
  • やる気・気力がでない
  • 社会的・職業的機能の低下、学業低下
  • 仕事中のミス・運転中に事故を起こしやすい
  • 緊張・頭痛・胃腸症状・めまいなどの身体症状がある
  • 倦怠感(だるい感じ)・疲れが取れない
  • 食欲不振
  • 心配事があるとき、テストや旅行前、旅先などで、どなたでも1度くらい「寝ようと思っても寝られない」経験をお持ちではないでしょうか?眠れなかったとしても数日~数週間のうちにまた眠れるようになれば問題ありませんが、不眠が慢性化してしまって日常生活に支障をきたしている場合には、一度医師にご相談いただくことをおすすめします。

不眠症の原因

不眠症の主な原因は、次の通りです。

ストレス
対人関係や仕事上の悩み、緊張、喪失体験、旅先・入院の環境などがあると、心に負担がかかってしまい眠れなくなります。
特に神経質・生真面目な性格の人は強く感じる傾向があり、不眠にこだわってしまい、不眠症に陥りやすくなります。

身体的疾患
高血圧・心臓病(胸苦しさ)、呼吸器疾患(咳など)、腎臓病・前立腺肥大(頻尿)、糖尿病・関節リウマチ(痛み)、アレルギー疾患(かゆみ)、脳梗塞・脳出血など病気や病気に伴う不快症状が原因となります。
特に、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は睡眠に伴って呼吸異常・四肢の異常運動が現れるので、不眠に陥りやすくなります。
原因となっている疾患や症状を治療することで、不眠症の改善につながります。

精神疾患
うつ病・不安障害がある場合、不眠を伴うケースがよくみられます。
「早朝覚醒」と「日中変動(朝は無気力だが、夕方にかけて元気が出てくる)」の両方がみられるときには、すみやかに医療機関へご相談することをおすすめします。

薬や嗜好品
降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤、カフェイン(コーヒー・紅茶など)、ニコチン(たばこ)、アルコールなどは睡眠を妨げることがあります。
また、アレルギー治療や酔い止めなどに使われる抗ヒスタミン薬は、日中に眠気を催すことがあります。

生活リズムの乱れ
夜勤などのシフト勤務・海外渡航による時差ボケなどで、体内時計が乱れると不眠に陥ります。また、長期休みなどに長時間の昼寝、夜更かしなどを繰り返すことは、体内時計の乱れにつながります。

環境の変化
枕を変えた、部屋が明るい・暑い、引っ越し、転職、工事の音がうるさいなど、身の回りの環境の変化によっても眠れなくなることがあります。

加齢
白髪や老眼、体力低下と同じように、体内時計も加齢によって前倒しに変化するため、若い頃に比べて早寝早起きになります。また、睡眠の質も浅くなるのでちょっとした音で起きてしまいやすくなります。

  • 当院では、高血圧・糖尿病などの生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群など不眠症の原因となる様々な要因に対し、内科的アプローチからの総合的な診察を行っています。

不眠症の診察・検査

不眠症では、基本的に問診を中心に診察を行います。
診断にあたり、患者さまには「睡眠日誌*2」をつけていただき、「いつ頃から不眠症状が現れたのか?」、思い当たるきっかけ、治療歴や治療中の薬、寝室の環境など詳しくお伺いします。

*2睡眠日誌:布団に入った時刻、実際に眠った時刻、目が覚めた時刻、布団から出た時刻、昼寝をした時刻などを記録します。1~2週間続けてみると、自分の睡眠習慣のクセ(問題)が分かります。最近は、スマホで記録することができる無料アプリも配信されています。

なお、睡眠日誌・お薬手帳・検診結果などをお持ちの方はご持参いただくと、よりスムーズに診察が行えます。
そのほか、必要に応じて、睡眠時無呼吸症候群の検査や血液検査・心電図などを行うことがあります。

不眠症の治療

不眠治療のゴールは「薬に頼らなくても、十分な睡眠が得られるようにすること」です。
不眠症の治療には、薬を使わない治療法「非薬物療法」と「薬物療法」の2つがありますが、当院では、不眠の背景にある要因に合わせた対処法を行いつつ、必要に応じて睡眠薬などを使って症状を緩和させる「薬物療法」を併用して治療していきます。

薬を使わない治療法「非薬物療法」

生活習慣・環境の改善

同じ時間に毎日起床する
人の寝起きは「時刻」で決まっているのではなく、「体内時計」で調節されています。とりわけ起床から約14~16時間後に眠気を催します。週末の夜更かし・休日の寝坊・昼寝はほどほどにして、平日・週末に関わらず同じ時刻に起床・就床するようにしましょう。早寝早起きではなく、早起きが早寝に通じます。

朝、太陽の光を浴びる
太陽光など強い光には、体内時計の調整作用があります。
早起きして太陽の光を浴びることで、夜寝付く時間が早くなります。
逆に夜にスマホやテレビなど強い照明を浴びすぎると、体内時計が狂って早起きがつらくなります。

睡眠時間や就床時刻を気にしない
人によって十分な睡眠時間は異なります。「睡眠は8時間取らないといけない」なんてことはありません。年を取ると、必要な睡眠時間は短くなるものです。
どうしても眠れないときは、思い切って布団から出ると良いでしょう。布団の中で長時間過ごすと、熟眠感(よく寝たと感じること)を得にくくなります。
また、布団には眠くなったら入るようにしましょう。「寝る時間」にこだわりすぎて「眠ろう」とする意気込みが強いと、かえって頭を冴えさせてしまい、寝付きを悪くします。

日中の眠気には、午後3時までに30分以内の昼寝を
どうしても眠い場合には、午後3時までに20~30分の短い睡眠を取ると、夜の睡眠に影響もなく、頭がスッキリします。

夜の食事は寝る3~4時間前までに済ませておく
快眠の妨げにつながるコーヒーやお茶・栄養ドリンク剤などのカフェイン摂取は4時間前までに、喫煙も1時間前くらいから避けると良いでしょう。

寝る前にはリラックスタイムを作る
寝る前には、軽い読書や音楽、ぬるめの入浴、アロマテラピー、軽いストレッチなどを行って、副交感神経を優位にさせましょう。半身浴も心臓への負担が少なく、睡眠の質を向上させるので、おすすめです。 ※寝る前にテレビ・スマホの強い光を浴び過ぎることは、体内時計が狂う原因となります。

眠りやすい環境作りを心がける
音・温度・明るさなど睡眠がとりやすい寝室づくりも重要です。
ベッド・布団・枕・照明など自分に合ったものを選びましょう。
心地よい眠りのためには、室温を20℃前後、湿度を約40~70%に保つのが良いとされています。また、快眠のためには、布団内温度を33度前後(例:冬場なら羽根布団1枚・夏場ならタオルケット1枚など)にすると良いとされています。

夕方に軽めの運動をする
程よい肉体疲労は、心地よい睡眠につながります。運動は午前中よりも午後に少し汗ばむ程度の軽い運動をするとよいでしょう。また、厳しい運動を短期的に行うよりも、楽~ややきつい程度の有酸素運動(早足でのウォーキング・サイクリング・軽いジョギングなど)を少し長めに継続すると効果的です。

ストレスを発散する
音楽・読書・スポーツ・旅行など自分に合った趣味を持つようにして、気分転換やストレス発散を図りましょう。

寝る前のお酒はNG
少量のアルコールは寝付きをよくしますが、睡眠の質(レム睡眠・ノンレム睡眠など)を下げる作用もあります。寝酒習慣が出来てしまうと、寝るのに必要な量が少しずつ増えてしまいます。また、アルコールによってトイレが近くなったり、睡眠作用が短時間となったり、夜中に目が覚める原因となります。

認知行動療法

認知行動療法とは、不眠症の原因となっている睡眠についての考え方のクセを修正して、普段の行動を変えていく治療法です。
「睡眠日誌」を付けて、ご自分の睡眠を見つめ直すことも大切です。

軽いストレッチ(筋弛緩法:きんしかんほう)や呼吸法

寝る前に体の筋肉の緊張をほぐすような軽いストレッチ・筋弛緩法や呼吸法を行うことで、副交感神経が高まってリラックスするため眠りやすくなります。

<簡単リラックス!筋弛緩法>
ポイント:「5秒間力を入れて15秒間ゆっくり緩める」を繰り返し、副交感神経を優位にさせましょう。
親指を中に入れて握りこぶしを作り、5秒間力を入れる。
5秒経ったら手を広げて緩め、手に血の巡りを感じながら15秒間リラックスする。
1~2を繰り返して、3セットくらい行う
※こぶしを握りながら肘を曲げて脇を締めて、上半身に5秒間力を入れる→その後15秒間緩めるなどもおすすめです。

薬物療法

非薬物療法を行っても改善が見られないときや他の病気を合併しているときなどは薬物療法を用いて、日常生活にまで影響を及ぼしている不眠症状を改善することを目指します。

これまでの薬物療法では「ベンゾジアゼピン受容体作用薬(BZ系薬・非BZ系薬*3)」の使用が主流でした。強い催眠効果や抗不安・筋肉の緊張をほぐす作用がすみやかに現れる反面、認知機能への影響・転倒リスク・眠気の持ち越しなどの副作用や、長期的に服用による耐性・依存などの問題が懸念されていました。

*3(参考)BZ系薬および非BZ系薬:脳の興奮を抑えるGABA(ガンマアミノ酪酸)という神経伝達物質の働きを促して、脳の機能を低下させて眠気を促す。BZ系には催眠+抗不安・筋弛緩作用があるが、非BZ系は催眠作用のみ。薬の効き始める時間・効果の持続時間により、超短時間型~長時間型までの分類がある。主な薬剤:ゾルピデム(マイスリー®)、エスゾピクロン(ルネスタ®)、トリアゾラム(ハルシオン®)、塩酸リルマザホン(リスミー®)、エスタゾラム(ユーロジン®)、フルニトラゼパム(サイレース®)、ニトラゼパム(ネルボン®)、塩酸フルラゼパム(ダルメート®)、ハロキサゾラム(ソメリン®)など
2013年睡眠学会によるガイドライン*4の中で「BZ系薬の使用は最小限・短期使用に留めるべき」とする方針が出されたことで、近年、BZ系とは異なる作用機序の新しいタイプのお薬が登場しています。
*4(参考)睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン|厚生労働科学研究班・日本睡眠学会ワーキンググループ
http://www.jssr.jp/files/guideline/suiminyaku-guideline.pdf

当院では新しいタイプのお薬である、メラトニン受容体作動薬のラメルテオン(ロゼレム®)、オレキシン受容体拮抗薬のスボレキサント(ベルソムラ®)、レンボレキサント(デエビゴ®)を中心に治療を進めていきます。
これらのお薬は、睡眠・覚醒周期の生理的な物質の働きを調整することで「より自然な睡眠を促す」タイプであり、BZ系や非BZ系のような強い催眠効果はありませんが、依存性が極めて少なく、安全に使用できる特徴があります。なお、効果・副作用には個人差があります。

メラトニン受容体作動薬

睡眠に深く関わるホルモン「メラトニン」の受容体に作用することで、BZ系・非BZ系睡眠薬で高頻度に起こっていた「反跳性不眠(はんちょうせいふみん)*5」「退薬症候*6」がなく、自然に近い生理的睡眠を誘導します。効き目が現れるまで、少し時間がかかります。
*5(参考)反跳性不眠:薬を中止すると、反動で以前よりも不眠が強くなること。
*6(参考)退薬症候:長期服用中、急に薬を中止・減量したときに起こる症状のこと。離脱徴候とも呼ばれ、不眠・不安・震え・発汗などの症状が一時的に現れる。

主な薬剤:ラメルテオン(ロゼレム®)
作用:睡眠リズム(体内時計)を整える
適応タイプ:入眠障害
メリット:依存性が少ない、せん妄を起こしにくい、
デメリット:入眠障害には効果不十分なことがある、効果実感までに約2~4週間と時間がかかる、翌日眠気が残ることがある、抗うつ剤(フルボキサミン)との併用NG、併用注意のお薬(抗菌剤・抗結核薬など)がある
半減期:約2時間

オレキシン受容体拮抗薬

オレキシンとは覚醒の維持に重要な物質であり、日中に増加して夜間は減少します。オレキシンの働きをブロックすることで、自然な眠りに導きます。現在、オレキシン受容体拮抗薬には「ベルソムラ」「デエビゴ」の2種類があり、どちらも入眠~覚醒まで十分な効果が期待できるので、総睡眠時間が長くなります。

主な薬剤:スボレキサント(ベルソムラ®)、レンボレキサント(デエビゴ®)
作用:覚醒スイッチを切る
適応タイプ: 中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害(入眠障害にも)

ベルソムラ®
2014年に発売されたお薬です。ベルソムラはロゼレムより効果実感が早く、入眠障害にも効果的です。
メリット:依存・耐性・反跳性不眠を起こしにくい、入眠障害にも効果的、せん妄を起こしにくい、処方日数制限がない
デメリット:効果実感まで少し時間がかかる、日中に眠気が残ることがある、夢(レム睡眠)が増えて悪夢となる場合がある、用量・服用タイミングの調整が必要(食事と同時・食直後の服用はNG)
半減期:約10時間

デエビゴ®
2020年に発売された新しいお薬です。入眠障害にはベルソムラよりもデエビゴの方が効果的です。
メリット:依存・耐性・反跳性不眠を起こしにくい、入眠障害にも効果的
デメリット:効果実感まで少し時間がかかる、日中に眠気が残ることがある、頭痛が起こる場合がある、用量・服用タイミングの調整が必要(食事と同時・食直後の服用はNG)
半減期:約50時間

一般的に、睡眠薬は服用10分~30分後には眠気を生じてくるため、基本的には就床直前に服用するようにしましょう。(※医師から服用タイミング等の指示がある場合には、指示に従ってください。)また、アルコールを飲んだ時は睡眠薬の副作用が現れやすくなるので、一緒に服用しないことが原則です。

なお、睡眠薬は手放せなくなる薬といった怖いイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、通常、医師の指導の下、適切に使用すれば問題ありません。自己判断でお薬の量を増減したり突然服用を中止したりすることは大変危険ですのでやめましょう。
使用するお薬について、気になることや不安なことなどある場合には、医師・スタッフまでお気軽ご相談ください。

よくあるご質問

「不眠症かも……」と思ったら、まず何をしたら良いでしょうか?

まずは、「睡眠日誌」を付けてみましょう。 不眠症の診断材料には、患者さまからの睡眠に関する環境や詳しい状況の申告が欠かせません。
睡眠日誌には布団に入った時間や目が覚めた時間、実際に眠った時間、昼寝をした時間などを記入するので、ご自身の睡眠のクセに気づくことが可能です。最近はスマホアプリも配信されています。その上で、生活環境の改善を図ることも大切です。

どのくらい睡眠時間を取ると良いのでしょうか?

「8時間睡眠が良い」という話を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、人によって十分とされる睡眠時間は異なります。
長い人もいれば、短い人もいます。また、気候によっても変化することもあります。
一般的には、加齢に伴い睡眠時間は短くなる傾向があります。
睡眠時間にこだわりすぎると、逆に眠ることへの不安や緊張を生むことにつながります。日中の眠気で困らなければ、十分なのです。

不眠症治療に使われる薬(睡眠薬)には怖いイメージがあります。治療で使用しても、不眠症が改善したら、ちゃんと薬をやめられますか?

以前使われていた睡眠薬には、確かに効果が強いだけでなく副作用も強い薬が用いられていたことがあります。しかし、最近のs睡眠薬は副作用の少ない、適正に使用すれば依存性の少ないお薬を主流としています。とはいえ、漫然と長期的に使い続けるのはよくありません。当院では不眠の背景にある原因に対処しながら、患者さまと相談して薬の減量や休薬日を作るなど、できるだけ薬を止められるよう進めていきます。

依存の心配が気になるかもしれませんが、まずは医師の指示通り、正しく服用して不眠症状を改善しましょう。自己判断での薬の減量・中断は、日中の不快症状(不安・イライラなど)や不眠症状が悪化するなどの恐れがありますので、やめましょう。

不眠症の予防や改善のポイントを教えてください

睡眠時間にこだわりすぎず、リラックスしながら規則正しい生活を送ると良いでしょう。「早寝早起き」をしないといけないのではなく、「早起きが早寝を導く」のです。
また、日中に太陽の光を浴びることで体内時計が調節されます。日中に適度な運動をしたり、寝る前にリラックスできることをしたりして、ストレス解消に努めることも大切です。快眠するためには寝酒習慣も避け、眠りやすい寝室環境を作りましょう。

市販の睡眠薬も不眠症に効果があるのでしょうか?

市販されている睡眠薬は、不眠症患者さまを対象とした長期的な臨床試験を行って、安全性や治療効果を確認しているわけではありません。注意書きにも原則「一時的な不眠に使用すること」「不眠症の診断を受けた人は使用しないこと」と記載があります。
不眠症となる原因は、個人差があります。不眠が長引いて日中に影響を及ぼしている場合には、市販の睡眠薬で対処するのではなく、まずはかかりつけ医などに相談すると良いでしょう。

院長からひと言

  • 不眠症に悩んでいる方は多くいらっしゃいますが、まずはご自身で不眠になってしまう原因を考えてみてください。

    たとえば「遅い時間までスマートフォンやパソコン、テレビの画面を見ている」「遅い時間に飲酒をする」といった行動は、睡眠の妨げになります。 また、年齢が上がってくると日中の運動量が減ったり眠りが浅くなったりして、睡眠時間は一般的に短くなっていくものです。

    「すぐに眠れないから睡眠薬がほしい」「ずっと薬を飲まないとだめ」と必要以上に思い込んでしまっている場合はよくあります。ですから当院では、「睡眠日誌」を記入していただき、不眠が実際にあるのか、なぜ不眠になっているのかを考えていただくようにしています。

    安易に薬を飲むと、依存性のある薬は特に減量や中止が難しくなることがよくあります。当院でも不眠に対する薬を処方することはありますが、依存性や耐性、認知力への影響などがあると言われている薬は基本的に処方しません。

    まずはご自身が睡眠するまでの環境づくりを見直してみましょう。その上で、それでもお困りの場合には当院にご相談ください。